横浜医史跡めぐり

私達の郷土、ヨコハマには県立を含めるといくつかの立派な博物館や資料館があります。しかし、医学、医療についてのそれはわずかに歯科医療についての展示室があるのみです。
ご承知のようにヨコハマは1859年の神奈川開港にあたりヘボン博士の来日を機に近代英米医学の発祥の地となりました。つづいてシモンズ、ウィリス、エルドリッジらがこの地に至り近代医術を広めました。
1923年の関東大震災により多くの遺産が焼失しましたが、私達は有形・無形の歴史的遺産の継承者として「横浜医学資料館」があったらと考えました。勿論、このことは広く市民や行政当局にお願いしていくことになりますが、幸にして横浜市立大学医学部同窓会倶進会が主体となって設立した横浜総合医学振興財団がその事業として建設運動を援助してくれることになりました。
本書はその手始めとして日本医史学界神奈川地方会の先生方に原稿をお願いして作成したものです。
これをきっかけに私達の趣旨に御理解、御協力をうることができれば誠に幸と存じます。(本誌表紙裏より抜粋)
- 発行日
- 平成7年12月1日(第1刷)
- 発 行
- (財)横浜総合医学振興財団
- 編 集
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横浜医学資料館設立準備委員会編
井出 研、杉田 暉道
目次
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ヘボンの足跡
- 日本近代医術の創始者、横浜に上陸
- 大滝 紀雄
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ニュートン
- 梅毒と天然痘の予防・治療に貢献
- 深瀬 泰旦
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シモンズ
- ヘボンと並び、横浜近代医学の創始者、福沢諭吉との交遊
- 荒井 保男
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エルドリッチ
- イギリス本国で没するも、遺骨はヨコハマの地に。函館・横浜で治療
- 衣笠 昭
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官修墓地
- 異郷での戦死者を葬う。土佐・長州藩の兵士らの永眠の地
- 中西 淳朗
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野毛山軍陣病院
- 沿革を辿れば、横浜市立大学医学部の前身
- 中西 淳朗
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横浜港
- 現代史の玄関口。明治以前は一寒村。
- 衣笠 昭
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丸善
- 発祥の地 今も弁天通にその名をとどめる
- 中西 淳朗
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外人墓地
- 沈黙の歴史の宝庫。資料館をえて粧いも新た
- 大村 敏郎
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山手病院
- 数多の名医による歴史的な役割を果たし、今は診療所として…
- 大村 敏郎
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杉田玄白と間宮林蔵
- 二人の開拓精神、横浜の地にルーツ
- 深瀬 泰旦
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野口 英世
- ゆかりの細菌検査室は保存会・市のお蔭で立派に史跡として…
- 衣笠 昭
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金沢文庫
- 武家文化を偲び 極楽浄土を模した称名寺境内に学ぶ
- 衣笠 昭